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信号紅炎徹底解剖

小型船舶の法定安全備品の一つでもある「小型船舶用信号紅炎」

万が一自船が遭難した際、救助船や航空機等に遭難位置を知らせる位置表示信号として、救難救助に欠かすことができない重要なアイテムです。

小型船舶の法定安全備品

マリンレジャーに欠かすことが出来ない信号紅炎ですが、緊急時の非常用ツールであるため、実際に使用する場面は滅多に訪れないと思います。

しかし、いざという時に信号紅炎を正しく使う事により、自船の早期発見や2次災害を防ぐ事ができ、被害を最小限に抑えることが可能となります。

今回はご自分で試す事は躊躇する信号紅炎のあれこれを、貴方に代わってRプロジェクトが調査します!

万が一のトラブル時に戸惑うことがないよう、この記事で信号紅炎に関する理解を深めて下さい。

信号紅炎とは

最初に、小型船舶安全規則(第47条の2)に記載されている信号紅炎の要件は以下の通りです。

信号紅炎に求められる条件
400カンデラ(※)以上の紅色の炎を1分間以上連続して発する事できること。
※カンデラ・・・光度の単位で1カンデラ=ロウソク1本分の光度
保存に耐え点火に危険が無く、爆発性が無く、かつ不時に発火しない品質であること。
使用の際、危険を生じない物であること。

これら3つの条件を満たす必要があります。

また信号紅炎は上記に当てはまる品質維持の為、有効期限が定められています。

有効期限については各製造業者により定められていますが、下記画像のJCI認定品の信号紅炎では3年6か月が有効期限となっています。

また期限の切れた信号紅炎は、法定安全備品と認められないので十分お気を付け下さい。

信号紅炎の有効期限は製造後3年6か月

それでは、実際に信号紅炎の使用手順をご紹介いたします。

信号紅炎の使い方
信号紅炎の有効期限は製造後3年6か月
ケースから信号紅炎を取り出します。
(国際加工製の信号紅炎を使用)
信号紅炎の有効期限は製造後3年6か月
2本セットの信号紅炎を分解します。

信号紅炎の有効期限は製造後3年6か月
ネジ式になっているキャップを外します。
信号紅炎の有効期限は製造後3年6か月
本体のマッチ部と擦り紙を摩擦し点火させます。

信号紅炎の有効期限は製造後3年6か月
点火後は風向きを考慮して点火口を風下へ向けるよう腕を伸ばし、火の粉が当たらない位置で保持します。
信号紅炎の有効期限は製造後3年6か月
燃焼が終了したら海水等に浸け確実に消火します。


上記が信号紅炎の使い方の流れになります。


信号紅炎を使用した感想は下記のとおりです
火力が強く火の粉も飛散する為、グローブや軍手などの着用が必須です。
燃焼時の輝度が強い為、炎の直視は危険です。
持ち手部分は不安定な構造の為、設置しての使用には不向きです。
火力が強く火の粉も飛散するため、燃料系統から遠ざけてご使用下さい。

信号紅炎 燃焼時間の計測

小型船舶安全規則では、信号紅炎は1分間以上連続して燃焼しなければなりません。

では、実際の信号紅炎の燃焼時間はどうでしょうか?
検証動画を撮影したので結果は下記動画をご覧ください。


その他 信号紅炎の気になる点を動画で検証

検証[1] 期限切れの信号紅炎は点火するのか?

信号紅炎には製造会社により、3年や3年6ヶ月などの有効期限が定められています。

22年前(1996年製造品)に作られた信号紅炎は点火するのか? 結果は下記動画をご覧ください。


検証[2] 濡れた信号紅炎は点火するのか?

水上で使用する信号紅炎ですが、濡れてしまった、又は湿った状態の信号紅炎は正常に点火するのでしょうか? 結果は下記動画をご覧ください。


検証[3] 水没した(10分間水に浸けた)信号紅炎は点火するのか?

信号紅炎本体が水中に沈んだことを想定して、10分間水に浸けた信号紅炎は正常に点火するのでしょうか? 結果は下記動画をご覧ください。


検証[4] 緊急時に気づいて欲しい…遠くからでも信号紅炎は認識できるのか?

ドローン撮影で最長200メートル離れた場所から撮影してみました。結果は下記動画をご覧ください
※実験は昼に行っています。



信号紅炎のQ&A

最後に信号紅炎について、お問合わせを頂くQ&Aをまとめてみました。

Q.小型船舶用信号紅炎を、自動車の発煙筒で代用することは可能ですか?

A.400カンデラ以上の光度に達しない為、代用することは出来ません。

上で説明した小型船舶安全規則の信号紅炎に求められる要件として、400カンデラ以上の光度が必要になります。
自動車用発煙筒の要件は160カンデラ以上と低い為、光度不足となり代用できません。


Q.400カンデラ、「カンデラ」って何ですか?

A.カンデラとは、光源の明るさを示す光度の単位(cd)です。1カンデラがロウソク1本分の輝きに相当します。

上の質問にもありましたが、自動車用の発煙筒が最低160カンデラ以上の光度が必要になりますが、比べて小型船舶用信号紅炎は最低でも400カンデラ以上の光度を必要とします。
広い海の上で使用することも考慮して自動車用よりも高い光度を必要とします。


Q.期限が失効された信号紅炎はどうすればいいですか?

A.有効期限の切れた信号紅炎の処分については、お買い求めの販売店に相談して下さい。

火薬を詰めている信号紅炎は火工品に分類される為、燃えるゴミなどには絶対に廃棄しないようにしましょう。


Q.携帯電話を持っていれば、信号紅炎は携帯しなくてもいい?

A.信号紅炎の代わりに、携帯電話が認められる場合もあります。

以下に掲げる要件がすべて満たされる場合です。

母港が携帯電話のサービスエリア内であること。
航行区域が海岸から5海里以内であること。
航行区域のほぼ全域が携帯電話のサービスエリア内であること。
特殊小型船舶(水上オートバイ)にあっては、携帯電話が防水機能を備えている、または防水カバーを装着し、その状態で通話できる処置が施されていること。

Q.航行区域が5海里を超える場合、携帯電話が信号紅炎の代わりとして認められないのはなぜですか?

A.携帯電話の海上における有効な通信範囲が、海岸から10キロ(5.4海里)程度だからです。


いかがでしたか
信号紅炎を使用したことの無いと言う方がほとんどだと思いますが、いざという時、最後の命綱となる信号紅炎はとても重要な法定備品の一つです。

万が一に備え信号紅炎をきちんと装備して、マリンレジャーを存分にお楽しみ下さい!

今回の実験を行うに際し、海上保安庁や周辺の漁協など関係各所へ事前に報告をし、周囲の安全を十分に確認した上で行っております。

[ボーターズ Rプロジェクトチーム]
※身近な興味を研究調査する、それがRプロジェクト
2018年10月 Rプロジェクトメンバー:鈴木 伸

2018年10月29日 (月) 18:45