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2018年2月から小型船舶乗船時のライフジャケット着用義務の拡大があったのはご存知ですか?
それ以前はアフトデッキなどの船室外にいる場合は着用努力義務という事で実質乗船する人の任意という扱いでした。
しかし、2018年2月からすべての小型船舶の乗船者にライフジャケットの着用が義務化されました。

ライフジャケットの中で人気なのが膨張式ライフジャケットです。
膨張式のいいところは、着用時の動きやすさと収納性にあります。
今まではライフジャケットを積載していれば良かったので、実際に乗船者が着用することは少なく、着用時の動きやすさはあまり注目されていませんでした。 しかし、この法改正で着用義務が強化され、商品選びにおいて着用感が一段とクローズアップされるようになりました。
収納性もとっても大きなポイントですね。膨張式なら10人乗りを超えるような大型ボートでもリンゴ箱1~2箱程度のスペースで収納できますが、非膨張式ならその3倍から5倍のスペースが必要です。膨張式は非膨張式に比べて高額なので敬遠されがちですが、限られた船内スペースを考えると膨張式が人気になる理由も納得ですね。

膨張式の中でも、自動膨張式と手動膨張式があります。
不意に落水した時、どんなに泳ぎが得意な人でもパニックになることがあります。泳ぎが得意でない人ならなおさらです。
そんなわけで、安全面を重視する人は、落水時に自動で膨張してくれる自動膨張式を購入したいと思うのですが、心配なのが誤作動。選ぶときに悩む人が多いようです。

「波しぶきがかかっても大丈夫?」

「雨の中で着ていても膨らまないの?」

そこでRプロジェクトが検証。今回は自動膨張式ライフジャケットがどれくらいの水で膨らむのか実験してみました!
今回用意したライフジャケットは自動膨張式ライフベストで一般的なウエストベルト型と首掛け型の2タイプ 。

ウエストベルト型 ▼

BEWAVE オーシャンWR-1型



首掛け型 ▼

BEWAVE オーシャン LG-1型





疑問1 │ ボート上や水際での水しぶき程度で膨張するのか

実験方法 水しぶきを再現するためにあらゆる方法でバケツから水を掛けていきます。

ウエストベルト型 ▼



首掛け型 ▼




疑問2 雨で水を感知するか

実験方法 雨を再現するためにシャワーで水を浴び続けます。

ウエストベルト型 ▼



首掛け型 ▼




どちらも膨張してしまう事はありませんでした。

結果:入水しない限り、かなりの量の水がかかっても水を感知してしまう事は無い!

まず、首掛け型は水を感知するカートリッジへの水の侵入口が下向きになっており外から水を掛けてもその中に水が入ってしまう事はまず無いと思います。それにくわえてライフジャケット自体が水をある程度弾くため実験後に中を確かめるとあれだけ水を掛けてもカートリッジ付近は多少湿っている程度でした。
そのためカートリッジ内に水が入る可能性は極めて低いと思います。
また、ウエストベルト型は水侵入口が横を向くため私の予想ではある程度水を掛けると膨張してしまうのでは無いかと思いましたが、外のカバーとは別にカートリッジが直接ネオプレーン素材の生地で覆われており外から水を掛けたくらいではネオプレーン生地の中まで水が入っていくという可能性は低いと思います。



自動膨張式ライフジャケットがどのような仕組みで水を感知するのか説明します。

ライフジャケット内に付けられたカートリッジに感知素子という水に溶ける錠剤が入っており、それが溶けると抑えられていた突起が針を押し上げボンベに穴を開けガスが放出するという仕組みになっているのです。
また、カートリッジにて水を感知したか確認ができます。



入水してみて実際に膨らむかどうか一応確認します。


ウエストベルト型 ▼



首掛け型 ▼



入水してライフジャケットが水に浸かると当然ですが、膨張しました。 ウエストベルト型は水を感知するカートリッジがネオプレーン素材の生地で包まれているため、入水してから膨らむまで少し時間が掛かっている事がわかると思います。

ではどんな時に誤って膨らんでしまうのか? 錠剤が水で溶けると膨張してしまうという構造を理解して頂いた方なら察しが付くと思いますが、濡れた状態、または湿った状態で放置すると、その湿気で錠剤が溶けて膨張してしまう可能性があります。また、少量でも溜まった水にライフジャケットが浸かった状態になるとカートリッジまで水が届いてしまう可能性があります。

いかがでしたか?これで水をかぶるデッキや、雨の日でも安心して自動膨張式のライフジャケットが着られますね!

自動膨張式のライフジャケットは陸では動きの妨げにならず、水に落ちた時にはパニックになっても自動で膨張してくれるという本当に優れた製品です。ライフジャケットを着用していれば水難事故にあった際の生存率が2倍以上になると言われています。2018年の2月から小型船舶の着用義務化も始まりましたので、これから水難事故が減っていってくれることを願っています。

※メーカーによってライフジャケットの構造が違います。また、もっと長時間で強い雨の場合は膨張してしまう可能性もあります。今回の実験結果は参考までにお考え下さい。

 

 

2018年06月29日 (金) 10:49